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スタッフブログ 脳は何歳からでも変化する。「神経可塑性(しんけいかそせい)」の仕組みと、鍼灸の可能性について
神経可塑性(しんけいかそせい)の仕組みと、鍼灸の可能性について───
「神経は一度傷つくと元には戻らない」「年齢を重ねると脳はもう変わらない」と聞いたことはありませんか。
かつてはそのように考えられていましたが、現在では脳や神経は経験や学習、運動などを通して変化し続ける力を持っていることが、多くの研究で明らかになっています。この力を「神経可塑性(しんけいかそせい)」といいます。
神経可塑性は、リハビリテーションやスポーツ、学習だけでなく、私たちの日常生活にも深く関わっています。
この記事では、神経可塑性とは何か、なぜリハビリが大切なのか、そして鍼灸がどのような視点から神経にアプローチしているのかを、できるだけわかりやすく解説します。
神経可塑性とは?
神経可塑性とは「脳が変化する力」のこと
神経可塑性とは、脳や神経が経験や学習、環境の変化、リハビリなどによって働き方を変化させる性質のことです。
以前は「神経細胞は一度壊れると回復しない」と考えられていました。しかし現在では、脳は年齢に関係なく、新しいことを学び、経験を積み重ねることで神経ネットワークを変化させる能力があることが分かっています。
もちろん、すべての神経が元通りになるわけではありません。しかし、残された神経同士が新しいつながりをつくったり、別の神経回路が役割を補ったりすることで、機能の改善につながる可能性があります。
神経可塑性には2つの変化があります
神経可塑性には大きく2つの考え方があります。
- ・機能的可塑性:別の神経回路が役割を補う働き
- ・構造的可塑性:神経同士のつながりが変化し、新しいネットワークが形成される働き
どちらも、私たちが新しいことを学んだり、リハビリを続けたりするときに重要な役割を果たしています。
神経可塑性はどのような時に起こるのでしょうか?
・子どもの発達
子どもが言葉を覚えたり、歩けるようになったりするのは、神経ネットワークが急速に発達しているためです。
・新しいことを学ぶ時
楽器の演奏やスポーツ、資格の勉強など、新しいことに挑戦すると、脳は繰り返し学習を重ねながら神経回路を変化させていきます。
・リハビリテーション
脳卒中などで身体が動かしにくくなった場合でも、繰り返し練習を続けることで、別の神経回路が働きを補い、動作が改善する可能性があります。
そのためリハビリでは、「できることを何度も繰り返す」ことがとても大切だと考えられています。
・慢性的な痛み
近年では、慢性的な痛みも神経ネットワークの変化が関係していることが分かってきました。そのため、痛みの治療でも神経可塑性という考え方が取り入れられています。
神経可塑性とリハビリの関係
リハビリが大切なのは、神経可塑性を引き出すためです。
特に重要とされているのが、次の4つです。
- 1.繰り返し練習すること
- 2.成功体験を積み重ねること
- 3.身体からの感覚をしっかり脳へ届けること
- 4.意味のある動きを繰り返すこと
脳は一度の練習で大きく変わるわけではありません。毎日の積み重ねによって少しずつ神経ネットワークが変化していくと考えられています。
「よく使う神経」は育ちやすい
神経科学では、よく使われる神経同士は結びつきが強くなり、反対に使われない神経回路は弱くなっていくことが知られています。
これは「使うことで育ち、使わないと衰える」という、とてもシンプルな考え方です。
例えば、自転車に乗る練習やピアノの演奏を繰り返すと、少しずつ上達していくのも、この仕組みが関係しています。
感覚入力が脳を変える
私たちの脳は、目や耳からの情報だけでなく、筋肉や関節、皮膚など全身から送られる膨大な感覚情報を受け取りながら働いています。
触れた感覚、身体の位置、動きの情報などは、脳の中で「自分の身体」を認識するための地図をつくる大切な材料になっています。
感覚が変われば脳も変わる可能性があります
リハビリでは、身体を動かすことだけでなく、「正しい感覚を脳へ伝えること」も重視されています。
当院で行っているリセプター療法も、この考え方を大切にしています。
身体から脳へ送られる感覚情報を丁寧に整えながら、神経ネットワークが働きやすい環境づくりを目指しています。
鍼灸と神経可塑性
近年では、鍼刺激が脳活動や神経ネットワークに与える影響について、多くの研究が行われています。
脳の画像検査を用いた研究では、鍼刺激によって脳の活動パターンが変化する可能性や、神経の働きを支える物質との関連が報告されています。
一方で、「鍼灸によって神経可塑性が改善する」と断定できる段階には至っておらず、今後さらなる研究が必要です。
当院で行なっている新脳針治療は、神経科学の視点を鍼灸治療に取り入れ、実際に難病や脳の疾患に対して多くの臨床を重ねています。
鍼灸治療の現在の医学的な位置づけとしては、リハビリや運動療法などと組み合わせながら、神経機能をサポートする補助的な役割として近年注目されています。
当院の考える「脳へのアプローチ」
当院では、脳と身体は一つの神経ネットワークとしてつながっていると考えています。
そのため、新脳針治療では頭部への鍼と微弱な電気刺激を組み合わせ、神経科学で知られる「Stochastic Resonance(ストカスティック・レゾナンス:確率共鳴)」の理論を施術コンセプトに取り入れています。
確率共鳴とは、とても弱い刺激を適切に加えることで、神経へ伝わる情報をより伝えやすくする可能性があるという神経科学の考え方です。
当院ではこの考えを鍼灸治療にも採用し、鍼を通して「0.7mAの極微弱な電気刺激」を頭皮から脳に伝えることによって、確率共鳴を促し神経伝達物質の分泌を促進するよう働きかけます。
また、リセプター療法では、身体から脳へ送られる感覚入力を重視し、運動や反復学習と組み合わせながら神経ネットワークへアプローチしています。
当院では、「感覚入力 → 神経ネットワーク → 運動 → 反復学習」という流れを大切にし、神経可塑性という考え方を施術コンセプトに取り入れています。
なお、上記は神経科学の知見を応用した考え方であり、神経可塑性そのものを改善する効果が確立していることを示すものではありません。これらは依然として研究段階であり、今後多くの期待が寄せられている分野です。
神経可塑性を高めるために大切なこと
- ・質の良い睡眠をとる
- ・適度な運動を継続する
- ・繰り返し練習する
- ・栄養バランスの良い食事を心掛ける
- ・焦らず継続する
また、有酸素運動や十分な睡眠は、脳の働きを支える物質の分泌にも関係すると考えられており、神経ネットワークが変化しやすい環境づくりにつながる可能性があります。
よくある質問
Q.年齢を重ねても神経可塑性はありますか?
はい。若い頃に比べると変化のスピードは緩やかになりますが、脳は生涯にわたって変化する能力を持っていることが分かっています。
Q.リハビリは遅く始めても意味がありますか?
発症から時間が経過した慢性期でも、適切なリハビリによって改善がみられるケースが報告されています。大切なのは、現在の状態に合った方法で継続することです。
Q.鍼灸だけで神経は治りますか?
鍼灸だけで神経疾患が治るとは言えません。必要に応じて医療機関での治療やリハビリと組み合わせながら行うことが重要です。
当院では、全ての患者様に適切な医療が提供されるよう、一人ひとりの症状に合わせた治療計画をご提案しています。
まとめ
神経可塑性とは、脳や神経が経験や学習によって変化する力のことです。
年齢に関わらず脳は変化する可能性があり、リハビリや学習、運動はその仕組みを活かした取り組みと言えます。
また、身体から脳へ送られる感覚入力も神経ネットワークを考える上で重要な要素の一つです。
鍼灸についても、脳や神経活動との関係が研究されていますが、現時点では神経可塑性への効果を断定できる十分なエビデンスはありません。
当院では、神経科学と東洋医学の両方の視点を取り入れ、脳と身体を一つのネットワークとして捉えながら、新脳針治療やリセプター療法を行っています。
「脳や神経はもう変わらない」と諦める前に、現在のお身体の状態を一緒に確認してみませんか。お一人おひとりに合わせた施術をご提案いたします。
鍼灸師 人見
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東京 銀座鍼灸院
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