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スタッフブログ 新脳針療法における神経修復作用と確率共鳴(Stochastic Resonance)の臨床的意義
こんにちは、院長前田です。
2026年も2月に入り、少し穏やかに温かくなってきましたね。
今回は以前に書いた院長コラム『ちょっと診ましょう』
”新脳針と確率共鳴” について」コラムを書きました。
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その内容を医学的にも濃くした内容を、5月の医療講座でお伝えするので、
その先駆けとして今回のブログでお伝えしますね。
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新脳針療法における神経修飾作用と確率共鳴(Stochastic Resonance)の臨床的意義
近年、リハビリテーション医学およびニューロモジュレーション(神経調節療法)の分野において、低強度刺激が神経ネットワークに与える影響が再定義されています。当院が実施する「新脳針」は、頭皮への鍼刺激に微弱電流を重畳させることで、『確率共鳴』(Stochastic Resonance: SR)を引き起こし、機能不全に陥った神経伝達の再構築を図る治療法です。
この内容では、その作用機序と臨床的妥当性について、最新の知見を交えて解説いたします。
1. 確率共鳴(SR)による閾値下信号の検出促進
通常、神経細胞が情報を伝達するためには、入力信号が一定の閾値(Threshold)を超える必要があります。脳血管障害や変性疾患により神経伝達効率が低下した状態では、脳からの遠心性信号や末梢からの求心性信号がこの閾値に達せず、情報が途絶(=麻痺や感覚鈍麻)してしまいます。
ここで、鍼を通じて「最適な強度のノイズ(微弱電流)」を付加すると、非線形システムである神経回路において、信号とノイズの和が一時的に閾値を突破する現象が起こります。これが「確率共鳴」です。

SRのメカニズム:
弱すぎて検出できなかった信号(Subthreshold signal)に、適切なランダムノイズが加わることで、信号のSN比(信号対雑音比)が向上し、神経発火が誘発されます。
2. 経頭蓋刺激としての「新脳針」の優位性
新脳針によるアプローチは、大脳皮質の運動野や感覚野の直上から行われます。これは、物理的な鍼刺激による局所血流の改善に加え、電気刺激による『経頭蓋静止電位刺激』や経頭蓋交流電気刺激に近い機序を内包しています。
神経可塑性の誘導
持続的な微弱電気刺激は、シナプス伝達効率を変化させ、**長期増強(LTP)**様の神経可塑性を誘導する可能性が示唆されています。単なる対症療法ではなく、脳のリマッピング(地図の書き換え)を支援し、残存機能の最大化を目指します。

3. 刺激強度設定の重要性:窓効果(Window Effect)
確率共鳴において最も重要な変数は、注入するノイズ(電流)の強度です。刺激強度が強すぎると、ノイズが信号を圧倒してしまい(Masking)、逆に弱すぎれば共鳴は起きません。
| 刺激フェーズ | 神経生理学的反応 | 臨床的アウトカム |
| Sub-threshold | 信号が閾値に達しない | 変化なし |
| Optimal Noise (SR) | 信号とノイズが共鳴し、閾値を突破 | 運動機能の改善・感覚の鋭敏化 |
| Supra-threshold | 筋収縮や痛覚による過剰干渉 | 信号の減衰・不快感 |
当院では、患者様の主観的閾値および疾患のステージに基づき、「本人がわずかに感知できるか否か」のサブスレッショルド領域での電流制御を徹底しています。

4. 臨床応用と展望
現在、この確理論を用いたアプローチは、以下の疾患群における西洋医学的リハビリテーションの補完として活用されています。
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脳血管障害後遺症: 運動麻痺および高次脳機能障害の回復促進。
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パーキンソン病: 基底核ネットワークの不安定性に対する調整。
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難治性疼痛・感覚障害: 感覚閾値の正常化によるQOL向上。
新脳針は、鍼灸学という伝統的物理療法と、現代の神経科学が提唱する「確率共鳴」を統合させた、バイオエレクトロニクス的側面を持つ治療介入です。
結語
私たちは、単に「鍼を打つ」だけでなく、神経生理学的な根拠に基づいた「介入」を行っています。複雑な神経症状に対して、適切な外部ノイズ(新脳針)を与えることで、生体が本来持つ自己組織化能を呼び覚ます——。
これが、当院が目指すニューロリハビリテーションの姿です。
院長 前田為康
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